2009年03月24日
日本人だよ。

日本人論として名高い『菊と刀』という本を読んだ事がありますか?
第二次世界大戦後のアメリカは、日本の占領統治を進めるために、日本人の行動様式を
理解する必要がありました。
そして、この課題に取り組んだのが、文化人類学者ルース・ベネディクトです。
彼女はの『菊と刀』(1944年)という日本論を著しました。
この本は、1988年にすでに100万部を超え日本人論としては最も広く読まれたものの一つだそうですよ。
読んでみると、荒唐無稽な記述も見られますが、当時の外国人から見た日本の姿が
そこにはあります。
といっても、ルース・ベネディクトは、日本に一度も来たことがないということですから驚きです!!
そして、そこには
『現在の日本社会においても払拭されていない日本的なものが鋭く摘出されている』
とも言われています。
その、今にして色あせていないと思われる一つに以下の文章をご紹介します。
『 日本人は従来常に何かしら巧妙な方法を工夫して、極力直接的競争を避けるようにしてきた。日本の小学校では競争の機会を、アメリカ人では到底考えられないほど、最小限にとどめている。
日本の教師たちは、児童はめいめい自分の成績を良くするように教えられねばならないという指示を受けている。
日本の小学校では、生徒を落第させてもとの学年をもう一度やらせるということはしない。
一緒に入学した児童は、小学校の全課程を一緒に受け、一緒に卒業してゆく。
成績通知表に示されている小学児童の成績順位は操行点(努力の有無)を基準とするものであって、
学業成績によるものではない。』
今の教育にも通じる形がここに見て取れるようです。
昨今では、『競い合いを避ける教育』『横並びの教育』『個性を大事にする教育』等を更に大事にしているように思います。
『菊と刀』は、「歴史性を無視したデータの使用法」や「聞き取り対象者の偏った選択」
など、用いられた資料に問題がなかったというわけではない・・・とはいいますが、
日本に一度も来たことがないというルース・ベネディクトが、これほどまでに日本を映し出し書いたその想像力には、本当に驚くばかりです。